はるちんのひとりごと

自分の思いを自分の言葉で。喜びも悩みも不安も悲しみも、ぜんぶひっくるめてこの生き方が、誰かの心を救えたらいいな。私の言葉が誰かの人生を照らせたら最高だなぁ。 "絶望だって、分かち合えれば希望になる"

どうでもいい記憶の話

 

 

小学校5年生の時、塾に通い始めた。

 

 

1人以外、全然知らない子たちだった。

 

 

 

みんなは休憩時間、

同じ小学校の子たちとワイワイ楽しそうにしていた。

 

 

 

私にはそんな友達はいなかったけど、

でも、そのことはそんなに嫌じゃなかった。

 

 

 

自分のことを知っている人たちの中で1人ぼっちでいるのと、自分のことを全然知らない人たちの中で1人でいるのとでは事情が異なる。

 

 

 

みんなは私を知らないし、私もみんなを知らない。

 

 

 

その空間が、心地良かった。

 

 

 

 

私は1人でいることを苦痛だとは思わないし、

何より、1人を楽しめる人間だから。

 

 

 

(というより、中途半端に知ってる人とか、

微妙に関わりのある人との空間のほうが、苦手だ。

 

 

 

その人の考えてることとか思ってることが

次から次へと想像できてしまうから疲れてしまう。)

 

 

 

 

 

人間観察が好きになったのは、その頃からだ。

 

 

先生に見せる顔と、

先生がいなくなってから友達同士で見せる顔。

男子がいる前で見せる顔と、

男子がいなくなってから女友達だけに見せる顔。

 

 

 

会話や目線から浮かび上がる人間関係のカーストを見ているのは刺激的だったし、何より勉強になった。

 

 

あぁ、どこの世界でもあるんだなぁ。

純粋にそう思った。

 

 

 

私は塾で人間関係をつくることに、

積極的になれなかった。

 

 

 

友達ができるのと引き換えに

誰かをチラチラ気にしながら会話するようになる

そんな勇気を持つことができなかった。

 

 

 

 

勉強以外のことに、エネルギーを使うのも嫌だった。

 

 

 

 

 

それに、居場所は先生がつくってくれた。

塾の先生はいつも、みんな、面白かった。

 

 

同世代での人間関係をつくるのがいつまで経っても

下手くそで、いつも1人ぼっちでいる私を気遣って

面白い話をしてくれる先生たちが、とても好きだった。

 

 

 

 

 

そんなある日、一度だけ、

全然話したこともないS君から、

「○○ちゃんに話しかければいいのに」

と言われたことがあった。

 

 

 

(その子の名字がかなり珍しかったからかも知れないけど、なぜかその子のことを今でもよく覚えている。

 

 

 

小学校の名前も、

6年生からの新しいクラスの所属先も

まったく知らないままお別れしちゃったけど。)

 

 

 

 

先生以外からそんなことを言われたのは

初めてだったその衝撃と、

 

全然話したこともない私のことをS君なりに

気遣って声をかけてくれたことが嬉しかったし、

そもそも挨拶すら交わしたこともない私のこと、

ちゃんと認識してくれてたのね、と思うと

クスッと笑えてしまった。

 

 

 

 

 

中学校にあがると校舎が変わったので、

片道1時間以上かけて塾に通っていた。

 

 

 

平日は通えないから、1週間分を日曜日に詰め込んだ

"日曜コース"というのに通っていた。

 

 

 

毎週日曜日、朝9時くらいから夕方6時くらいまで。

 

 

 

親も先生も、"大変だねぇ"と言ってたけど、

私は塾に行くのが楽しかった。

 

 

 

塾に仲の良い友達がいるわけでも、

特別楽しい何かがあるわけでもない。

 

 

 

1人で電車に揺られ、授業を受け、お弁当を食べ、

そしてまた電車に揺られて帰ってくる。

 

 

 

 

静かで緑しかない地元の田舎町とは違って、

ネオンカラーの看板とカープファンが埋め尽くす

雑踏の中を、1人で歩いていた。

 

 

(なんか、小説チックですね。笑)

 

 

 

知らない街に、1人で冒険してるみたいで

楽しかったのかな。

 

 

 

 

 

中学校3年まで、日曜コースにいた。

 

 

 

メンバーは、学年が上がるにつれて増えた。

 

 

 

ほとんどの子が遠いところから通っていたのと、

いろんな地域から来ていたのとで

みんながみんなを知らないクラスだった。

 

 

 

だから、私たちのクラスだけ、

いつも異常に静かだった。

 

 

 

"受験は団体戦だから仲の良さも大事です"

という話を先生は何度もしていたけど、

 

 

 

 

特別仲の良い友達がいるわけでもなければ

特定の誰かを攻撃することもないその空間が、

私にはちょうど良かった。

 

 

 

(それは"塾"というサードプレイス的な所だったから

そう思えていたのかも知れない。)

 

 

 

 

 

このブログで伝えたいことは、本当に何もない。

 

 

 

ただ、自分の中に意識するまでもなかった日の記憶が、

ふと脳裏をよぎる時がある。

 

 

 

 

その記憶の中にいる自分が思ったことや考えたこと、

感じていたことが

気づかぬ間に自分の根幹になっていることがある。

 

 

 

 

インパクトがあって濃い思い出よりもむしろ

そういう思い出のほうが、

無意識の自分の中にあるものに近く迫る時もある。

 

 

 

 

誰にも聞かれない、

言葉にするまでもないそんな日々の思い出にも

実は自分っていっぱい詰まってるのかなぁって、

ぼんやりそんなことを考えることがあったのでした。